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青森家庭裁判所八戸支部 昭和33年(家イ)73号 審判 1958年10月24日

(本籍 米国南カロライナ州 住所 青森県)

申立人 ロバート・エル・モーア(仮名)

(本籍住所右に同じ)

申立人 メリイ・エス・モーア(仮名)

(本籍群馬県住所青森県)

相手方 浜田正(仮名)

主文

申立人等と相手方浜田正とを離縁する。

理由

申立人等の申立の要旨は申立人等は昭和三二年六月六日相手方浜田正と養子縁組を為し申立人等の許に於て養育中のところ、右正は昭和三二年一二月頃脳性小児麻痺兼右股関節脱臼のため入院加療するに至り快復の見込なく、他方申立人等は近く帰国の予定であるが、相手方が右のように病気であるためアメリカ大使館に於ては相手方に対する旅券査証を行いえないとの意向であるので、申立人等は相手方を本国に連れて行くことが出来ないから甚だ残念ながら離縁したいというのである。

よつて按ずるに、右の事実は、戸籍謄本本人審尋の結果に徴し容易にこれを認めることができるし、相手方実母また相手方を引取り養育することにつき、何等異論がない。

ところで本件養子離縁につき、第一次に適用される養親の本国法(アメリカ合衆国南カロライナ州法)には離縁を認める制度がないので、あくまで本件離縁を認めないとするならば、前記認定のように相手方正は養親と共にアメリカ合衆国に帰ることができない状態にあるため、近い将来において快復の希みのない病幼児弘は直接養親の監護養育の下に入ることが不可能であるのみならず、現に相手方を引受け養護すべき希望を有する実母のもとに帰ることも法律的には困難を伴なうことになるであろう。かようなことは幼児弘の福祉ひいてはわが国の公序良俗に適合するものとは到底考えられない。この故に本件については、離縁を認むる法廷地法である内国法規を適用するを相当とする。

よつて当裁判所は調停委員の意見を聴き、一切の事実を考慮し養子の福祉のために家事審判法第二十四条により主文の通り審判する。

(家事審判官 工藤健作)

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